障害年金の認定日特例とは?

社労士
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こんにちは!船井総研の山本です。

普段は障害年金を取り組む社労士事務所様のサポートをしており、障害年金に特化した障害年金経営研究会という勉強会を開催しております。

今回は、障害年金経営研究会でも取り上げたことがある、「障害年金の認定日」と、障害認定日が来ていない場合でも障害年金が申請できる「障害年金の認定特例」についてお伝えをいたします。

障害認定日とは?

障害年金の障害認定日とは初診日から1年6か月経過した日を指します。

障害年金の申請は、初めて病院に行った初診日から1年半経過しないと申請ができません。

うつ病と診断されたのですぐに申請ができるというわけじゃないんですね。

 

日本年金機構では下記のように掲載されています。

障害の程度を定める日のことで、その障害の原因となった病気やけがについての初診日から起算して1年6ヵ月を経過した日、または1年6ヵ月以内にその病気やけがが治った場合(症状が固定した場合)はその日をいいます。(日本年金機構より)

 

障害の程度の認定を行う基準日のことで、障害認定日の障害の程度が、障害年金の支給の審査対象になるため非常に大事な日です。

認定日には細かく分けて3つのパターンに分けることができるので、今から一緒に見ていきたいと思います。

 

 

障害年金の認定日3つのパターン

①初診日から1年6ヶ月を経過した日(その間に治った場合は治った日)

障害年金の障害認定日

治った場合と書いてありますが、障害年金の場合「治った日」の定義がちょっと違います。

簡単に言うと、これ以上治療しても治らないよ!と判断された症状固定日を治った日と定義しています。

この治った日が「障害年金の認定日特例」に関連しますので、下記でご説明いたします。

 

②20歳前に障害がある場合は20歳に達した日

障害年金_20歳前に障害がある場合→20歳に達した日

20歳に達した日って表現が難しいですよね。簡単に言うと誕生日です。

初めて病院に行った初診日が20歳より前の場合は20歳前障害になります。

 

20歳前障害に関しては下記をご覧ください。

保護者に知っていただきたい障害年金

 

20歳前障害になる例

例えば、下記も20歳前障害になります。

  • うつ病で高校生の時に病院に行った場合→20歳前障害
  • 生まれたときから心臓に障害がある場合→20歳前障害
  • 幼少期の健康診断で病名が判明した場合→20歳前障害
  • 幼少期の知能テストで知的障害が判明した場合→20歳前障害

 

20歳前障害にならない例

反対に20歳前障害にならない例はこちらです。

  • 18歳のときに発達障害といわれたが検査をしなかった。21歳で検査して発達障害と言われた→21歳が初診日
  • 19歳でうつ病っぽくなったが病院にいかなかった。20歳になってから病院にいってうつ病と診断された→20歳が初診日

ちなみに、子供の時に病気があり完治したが再度病気になった場合は「因果関係がない」と証明する必要があります。

病気の因果関係が認められないと判断された場合は、大人になってから病院に行った日が初診日になります。

※わかりやすく簡略化して掲載しています。ケースバイケースですので詳細は社労士もしくは年金事務所にお問い合わせください。

  • 小学生の時に心臓疾患があったが完治した。21歳になってから心臓疾患になった→小学生のときの疾患との因果関係から判断する
  • 中学生の時に引きこもりであった。社会人になってからうつ病を発症した→中学生時代に診察を受けたかどうかがポイント

上記を「社会的治癒」と呼びますが、非常に複雑なので後日解説をしたいと思います。

 

③65歳に達する日の前日までの間に障害の状態となった場合

65歳に達する日の前日までの間に障害の状態となった場合

持病で心疾患を患っていたが障害年金の障害状態を満たしていなかったが、その後、病気が悪化し、障害年金の申請をしたパターンを例に出しています。

いわゆる事後重症請求というものです。

65歳の誕生日の前々日まで障害年金の申請が可能です。事後重症請求の場合は3級以下の症状だった日が障害認定日という扱いになります。

※65歳前の事後重症請求のケースは厚生労働省が出している資料P22をご覧ください。(クリックで飛びます)

 

 

障害年金の認定日特例とは?

障害認定日が来ていない場合でも障害年金が申請できる特例のことです!(そのままですね)

障害認定日が過ぎたら障害年金の申請ができますが、この障害認定日が1年半を待たなくても申請ができるというものが「障害年金の認定日特例」になります。

認定日特例の申請(1年半を待たないパターン)

例えば、手足切断で障害年金の申請をする場合は切断日が障害認定日になります。

障害年金_障害認定日の特例

具体的な認定日特例は下記です。

 

認定日特例が適応される障害

日本年金機構のほうですでに決められているので、ご自身が当てはまるか確認してみてください。

咽頭全摘出の場合 摘出した日
人工骨頭または人工関節を挿入置換した場合 挿入置換日
切断または離断による肢体障害 原則として切断日、離断日(障害手当金は創面治癒日)
脳血管障害 初診日より6ヶ月経過した日以後に、医学的観点からそれ以上の機能回復がほとんど望めないと認められるとき(初診日より6ヶ月経過した日以後に症状固定したと認定された場合のみ)
在宅酸素療法を行っている場合 在宅療法を開始した日(常時使用の場合)
人工弁、心臓ペースメーカー、ICD(植え込み型除細動器)、CRT(心臓再同期医療機器)、CRT―D(除細動器機能付き心臓同期医療機器)、人工血管(ステントグラフトを含む) 装着日、挿入置換日
心臓移植、人工心臓、補助人工心臓 移植日または装着日
人工透析 透析開始から3ヶ月を経過した日、かつその日が初診日から1年6ヶ月以内の場合
人工肛門増設、尿路変更術 造設または手術した日から6ヶ月経過した日
新膀胱造設 造設または手術した日
神経系の障害で現在の医学では根本的治療方法がない疾病 今後の回復は期待できず初診日から6ヶ月経過した日以後において気管切開下での人工呼吸器(レスピレーター)使用、胃ろう等の恒久的な措置が行われており日常の用を弁ずることができない状態であると認められるとき
遷延性植物状態 障害状態に至った日から起算して3ヶ月を経過した日以後に、医学的観点から、機能回復がほとんど望めないと認められるとき

自分では判断できないことも多いと思いますので、まずは主治医に「障害年金の申請を考えているんですけど、どうですか?」と説明をしてみてください。

 

症状固定(障害年金の治った日)の考え方

症状が固定されて、これ以上障害の状態が変わらないよ、と判断されたときに障害年金の申請ができます。

症状固定日が障害年金でいう「治った日」になります。

脳梗塞などで1年半を待たずに症状固定で申請希望の方が頻繁にいるのですが

「リハビリをしている」=「機能改善の見込みがある」という判断で症状固定にはならないという基準です。

「リハビリをしていない」理由が

  • 経済的理由
  • やる気が湧かない

という場合も症状固定にはなりません。

医師がリハビリ(治療)をしても症状に改善の見込みがないと判断した場合は症状固定日と判断されます。

ですので、「毎日欠かさずトレーニングしている」というのは

  • ご自宅で自主的に行っているのか?
  • 病院で治療としてリハビリをしているのか?

状況の確認をしてみてください。

 

 

障害年金経営研究会・オブザーバー横田先生へのQ&A

参考までに、障害年金経営研究会で質問があったQ&Aを掲載いたします。

内容脳腫瘍で半身麻痺になった場合、症状固定6ケ月で請求可能ですか?

脳血管障害の場合が「症状固定6ケ月」で認定されますので
脳腫瘍の場合は症状固定とは認定されないと思われます。

初診日(64歳:厚生年金の方)から1年7か月の時にペースメーカーを装着しました。
この場合、障害認定日を過ぎているため請求は出来ないと考えてよいのでしょうか?

障害認定日以後3ヶ月以内に症状固定に該当する事由がある場合は
障害認定日で障害状態にあるとできるか個別に判断されますので、
障害認定日で認められる可能性はあります。

基礎的な質問で恐縮ですが、年金事務所の複数の担当者に尋ねても回答がそのたびに異なるため、ご教授下さい。

・胸部大動脈瘤により人工血管を挿入した場合、障害認定日はいずれになるのでしょうか?
(1)初診日から起算して1年6月を経過した日
(2)挿入置換日

(2)になりますが一般状態区分「ア」では該当しませんのでご注意ください。

 

さいごに

いかがでしたか?先ほどの認定日の特例に、ご自身の障がいが掲載されていたら1年半を待たなくても障害年金を申請することができます。

少し複雑だと思いますので、お近くの障害年金専門社労士か年金事務所に問い合わせをしてみてくださいね。

以上です。ここまでありがとうございました!

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