こんにちは!船井総研の山本です。
2020年6月12日(金)に障害年金分科会を開催しました!
新型コロナウイルス感染予防のためオンラインで開催をいたしました。
スケジュール
▲オンライン障害年金分科会のスケジュール
第一講座
第一講座は「精神科医が教える“医学的見地”」というテーマで
医師・弁護士 二番町法律事務所 西山 健治郎先生にご講演をいただきました。
ここでは一部テキストの抜粋を掲載いたします。
※障害年金分科会にご入会いただくと、こちらの講座の視聴が可能です
①各種診断書の違い
・障害年金診断書の解説
・自立支援医療診断書の解説
・精神障害者福祉手帳診断書の解説
②ICD-10コードとは
- 世界保健機関(WHO)が作成した国際疾病分類
- 精神疾患の診断の信頼性(どの医師も同じ診断にたどり着く)を向上させ、世界的に標準化するための操作的診断基準が設定されている
- 研究や公式統計に利用される
③新しい精神障害:発達障害について
従来型診断では(小児)自閉症しかなかった
DSM5では自閉スペクトラム症の中に、自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群を含めることとなった。
ICD-10ではADHDの概念は十分に確立されておらず 「F90:多動性障害」のみ規定。
④精神科で処方される向精神薬について
精神科で使う薬は向精神薬(こうせいしんやく)と呼ばれる。
向精神薬の種類は、基本的に病名(統合失調症、うつ病、神経症、躁病、てんかん)に一対一対応しており、
抗精神病薬(こうせいしんびょうやく。「精神病」≒統合失調症でしたね)、
抗うつ薬、抗不安薬、抗躁薬、抗てんかん薬(気分安定薬ともいう)がある。
講座の最後には質疑応答のお時間を設けました。
下記参考までに共有いたします!
▲質問の一部
質問①
F22妄想性障害とF60妄想性人格障害の各症状と違いを教えてください。
回答
妄想性障害では、「妄想」が見られます。妄想性パーソナリティ障害では「妄想」は見られません
(なお、DSM-5では「妄想性パーソナリティ障害」に加え「猜疑性パーソナリティ障害」が併記されています)。
※妄想:①自己に関連した②不合理な内容を③確信し訂正不能なもの。
▲質問の一部
質問②
精神科医の先生方へ診断書を依頼する際、生活状況申立書を同封しております。
その際、精神医療に詳しくない社労士が記載する場合、どのような書き方をすると参考になる、読みやすい、判断材料になる等がありましたらご教授ください。
例)ある精神科医の先生から、一般の人が考える希死念慮の考え方と異なり、精神科医の希死念慮の捉え方は違うんだよとご教授頂いたことがあります。
もし、一般の人間と精神医療との意識、捉え方の差異がありましたら、ぜひご教授下さい。
回答
生活状況申立書の記載は、大変良いのではと思います。
実際の診断書の項目(日常生活状況、日常生活能力)に従って具体的に記載されているとスムーズなのではないでしょうか。
「希死念慮」については、治療の必要のあるもの(自殺しようと思い詰めているもの)に限定して評価する可能性があるので、例えば、過去に自殺企図を行った時期、回数、具体性(例:「紐を準備して妻に止められたことがある」)等を具体的に書かれるのはいかがでしょうか。
質問③
うつ病と抑うつ状態の違いについて、質問です。
障害年金ではうつ病は対象になりますが、抑うつ状態だと対象になりません。
①うつ病と抑うつ状態について、インターネットなどで調べると、
抑うつ状態が2週間以上続くのがうつ病、2週間以内が抑うつ状態となっているのですが、明確な基準はあるのでしょうか?
②十数年間、精神科に通院している方や1か月以上入院しているにもかかわらず、
障害年金の診断書を依頼すると傷病名が「抑うつ状態」と記載されることがあります。
抑うつ状態が2週間以上続くのがうつ病だとすると「うつ病」と記載されてもいいのかと思うのですが、
医師の中でも「抑うつ状態」と「うつ病」は明確に分けて記載されているのでしょうか?
回答
①「抑うつ状態」ではなく、「抑うつ気分」等の症状が2週間以上続くと、
DSM-5におけるうつ病の診断基準を満たす可能性があります。また、「抑うつ状態」は状態像、「うつ病」は診断名です。「抑うつ状態」にあるものの「うつ病」でないことがあり得ます。
②上記の通り「抑うつ状態」となり得る診断名は、「うつ病」以外にも様々ですので、
治療開始当初は診断名を付けることが困難な場合がありますが、十数年間通院してたり、
入院が長期化しているような場合、診断名を付けることが可能な場合も多いと思います。
ただし、診断書が不服申立や訴訟の資料となり得ること、情報不十分のため、状態像しか記載できないと考える医師もいることをご承知ください。
質問④
人格障害について、ご教示ください。人格障害にて、再審査請求を行い、棄却されました。
直前まで、統合失調症の診断で約20年推移、担当医が変わり、人格障害の診断名に変更になり
直前までは統合失調でであったためこの病態を認めてほしいとの申請をしたものの、
厚労省の見解は人格障害であることを以って認定されませんでした。
人格障害は、精神病態を示しているとの事実確認でも認定されないでしょうか。ご見解をお願いいたします。
回答
人格障害(ICD-10のF6)は、障害年金認定基準に含まれていないため、認定は難しいかと思います。
質問⑤
2018年にICD-11が公表され、今後日本でも適用されるようですが、
精神疾患の面で現行のICD-10との違いがあれば教えてください。
回答
ICD-10における精神遅滞・発達障害・ADHDを含む各カテゴリーが、
ICD-11では統合されて一つの群になることはすでに述べました。
このほかにも、ICD-10では性同一性障害が精神の障害(F64:成人のパーソナリティおよび行動の障害)に含まれていましたが、ICD-11では「性別不合」と名称変更され、精神障害から除外されました。
また、新しい精神障害名として、ゲーム症/ゲーム障害が登場しております。
質問⑥
うつ状態と、うつ病の違いを教えてください。
回答
うつ状態とは、気分の落ち込み、興味の喪失、自責感等のうつ症状が認められる状態(「状態像」)のため、
診断基準のようなものがありません。他方で、うつ病は診断名であり、(操作的)診断基準)があります。
統合失調症でも、うつ状態になり得ます。
質問⑦
病名が神経症の場合、原則認定の対象にならないため、「精神病の病態があれば、病名を追記していただきたい」旨、
主治医先生に相談させていただきます。しかし、医師の立場からすれば、快くない相談だろうと思います。
このような相談をする際、主治医先生に対して、どのような配慮と心がけを持つとよいでしょうか。
また、まれに、社労士を過度に敵対視する医師の方がいらっしゃいますが(ごあいさつする前に門前払いされてしまう等)、
こちらも対応に困ってしまいます。どうしたらよいでしょうか。
回答
ピラミッド図によると、心因(神経症)と診断した場合、それは内因(精神病)ではないと判断したことの裏返しであるため、
「神経症」との診断を「精神病」にならないかを求めることは医師にとっては診断書に手心を加えろと言っているように聞こえ、
不快に思われるのだと思います。仮に相談をされるならば、いきなり病名を尋ねるのではなく、
まず症状から問い合わせるのはいかがでしょうか。
また、診断書に関連して苦い思いをした経験のある医師は少なからずおりますので、
誠実な対応を継続的にとり続けることが必要かと思います。
質問⑧
精神科医が診断書を作成する際の基準等がありますか。
また、年金機構が出しているガイドラインを参考にしているのでしょうか。
医師会等からガイドラインの案内等はかあるのでしょうか。
回答
医師が参照するのは、
「国民年金・厚生年金保険精神の障害に係る等級判定ガイドライン」
「障害年金(精神の障害用)の記載要領~記載にあたって留意していただきたい事項~」
「日常生活および就労に関する状況について」だと思います。
医師会から通知については、不明です(私が認識していないだけかもしれません)。
質問⑨
今後、コロナウイルスによる精神科患者への影響がどの程度見込まれるのでしょうか。
(すでに病んでいる方の症状悪化、今後の患者数の増加等)
回答
不安障害で通院されている患者さんは、病状が悪化している印象です。
今後は、失業によるうつ病の増加・自殺者数の増加を大変懸念しております。
質問⑩
社労士と聞いただけで毛嫌いする精神科医達がおります。
どういった点が嫌だと感じているのかを知りたいです。
ご存じの点だけでもご回答願いたいです。
回答
診断名の変更を要求されたり、程度を重く付けるよう要求されることを経験した医師は、社労士に対して快く思わないかもしれません。
質問⑪
うつのようなメンタル的病気と神経症の区分が明確か・神経症と病名が付いたらもう申請が困難なのでしょうか。
回答
うつ病と神経症は区分されます。ただし、ある時点で神経症と診断されていたものが、
時間経過とともにうつ病の診断基準を満たすことはあり得ます。
神経症と診断された後の経過によっては、うつ病での申請が可能になると思います。
質問⑫
適応障害とうつ病の根本的違いを教えてください。
回答
(DSM-5によると)適応障害では、ストレス因の特定が要求されます。
また、うつ病等、他の精神障害が否定されないと、適応障害の診断はつきません。
第二講座
第二講座は情報交換会を行いました。
ルーキグループとベテラングループに分かれ、事例検討やマーケティング講座を行いました!
ベテラングループ
ベテラングループでは横田年金社労士事務所 横田 眞治先生に
皆様からご提出いただいた事例の解説と実務の質問についてお答えしました。
▲いただいた質問の一部
質問
うつ病、アルコール依存症で不支給になった事例について今後の対応を教えて下さい。
横田先生による回答
認定表ないしは認定調書を開示請求しないと断言できませんが、
・うつ病とアルコール依存症は相当因果関係なし
・相当因果関係のない疾病による症状が混在していることによる認定不能却下
ということだと思われます。
うつ病が前発で主症状であるとしまして、現在の症状にアルコール依存症の影響はないことを客観的に示すことができれば受給の可能性はあると思われます。
具体的には、
・(アルコール性肝硬変の認定に倣い)180日以上断酒していること
・現在はアルコール依存症の症状は実際にはないこと
あたりがポイントと思われます。
他にも、社会的治癒の考え方、併合認定についてご解説をいただきました。
ルーキグループ
ルーキグループでは「Zoom活用講座」と題しまして株式会社 船井総合研究所 松山未来よりお送りしました。
Zoom面談のための、Zoomの操作方法や実際の面談で使用しているZoom用面談ツールをお伝えいたしました。
▲講座の一部
第三講座
第三講座は「知っておきたい!動画マーケティング」と題しまして
株式会社 船井総合研究所 松山未来よりお送りしました。
▲講座の一部
▲テキストの一部お伝えした内容
第四講座
「最新!障害年金マーケティング事例共有」と題しまして
株式会社 船井総合研究所 山本千穂よりお送りしました。
▲講座でお伝えしたこと
▲今回は新型コロナウイルス影響アンケートをお取りし
緊急事態宣言中の事務所の対応を事例とともにお伝えいたしました
▲講座の一部
▲講座の一部
第五講座
次回のご案内を、山本よりお送りしました。
第一講座~第四講座までは事前に動画を撮影し、配信しておりましたが
第五講座ではリアルでお話をいたしました。
Zoomで画面共有をすると話しにくい…
次回からプラズマを準備して2画面で実施しようと思います。
次回も新型コロナウイルスの感染拡大防止のためオンラインで開催いたします。
以上です。ここまでありがとうございました!