障害年金の社会的治癒とは?因果関係がある・なしとは?

A病とB病の因果関係がある場合 社労士
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こんにちは!船井総研の山本です。

普段は障害年金を取り組む社労士事務所様のサポートをしており、障害年金に特化した障害年金経営研究会という勉強会を開催しております。

今回は、障害年金経営研究会でも取り上げたことがある障害年金の「社会的治癒」についてお伝えしたいと思います。

社会的治癒とは?

簡単に言うと「A病とB病」を発病したときに因果関係があったとしても、社会的に治癒していればB病が初診日になりますよってことです。

「A病とB病」を発病したときに因果関係がない場合は、B病を初診日にして申請をします。

A病が治癒した後にB病を発病している場合は、A病とB病の間に因果関係がある場合はA病が初診日になります。

因果関係がなく社会的治癒を成立させるためには「社会生活も通常通り生活できているよ」ということを書類で証明する必要があります。

なんだか少しややこしいので、社会的治癒の例をお伝えする前に、因果関係の考え方をお伝えしたいと思います。

 

障害年金の因果関係とは?

正式には「相当因果関係」と呼びますが、障害年金経営研究会の情報交換会では「因果関係」と呼んでいますね。

社会的治癒や因果関係について厚生労働省の障害年金ガイドには掲載されていません。うーん…なぜでしょう。

参考までに現場で障害年金の審査をされていた障害年金経営研究会のオブザーバー・横田先生からのアドバイスを掲載しておきます。

横田先生による相当因果関係の定義

相当因果関係の定義は

  1. 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
  2. 障害の原因となった傷病の前に相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日

簡単に言うと、

  • 糖尿病から糖尿病性壊疸(糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉鎖症)は因果関係があったり…
  • 肺疾患と呼吸不全が因果関係があったり…
  • 近視と視神経萎縮は因果関係がなかったり…

それぞれの病気で因果関係があるかないかが判断されます。

因果関係がある場合は、最初に診察を受けた日が初診日になります。

少しややこしいので例を見てみたいと思います。

 

因果関係がある場合

A病とB病の因果関係がある場合

A病とB病の関連があるのが「相当因果関係がある」状態です。

今回はわかりやすく腎臓の病気から人工透析を例に挙げて説明します。(※透析は病名ではありませんが例なので悪しからず。)

腎臓機能が低下した結果、人工透析を受けることになりますので、この場合は因果関係があります。

腎臓が悪くなかったら透析は受けないですよね。

このように、A病になったからB病になるという関係(A病→B病)になります。

 

ちなみに、どの病気が因果関係があって、この病気は因果関係がないというのは医師しかわかりません。

参考までに日本年金機構が提示している情報は記事の下に記載しています。

少しでも前の病気と関連があるかも…と思われた方は、主治医に診察のタミングで質問するか、障害年金の専門の社労士に質問してみてください。

 

因果関係が認められにくい場合

※あえて「認められにくい」と記載をしています。

因果関係があることを立証できれば因果関係はあることになります。

A病とB病の因果関係が認められにくい場合

例で腎臓の病気とうつ病を掲載しています。

腎臓の病気になった人か必ずしも腎臓の病気の影響でうつ病になるわけではないので、因果関係がないと判断されます。

A病になったからB病になるわけではないという状態ですね。

腎臓の病気になったことによるショックからのうつ病の発病であれば因果関係を認められることもあるかもしれませんが、因果関係を立証する資料が必要にになります。

例えば、線維筋痛症を患っており、痛みからうつ病を発症したという事例がありますが、この場合は因果関係が認められることがあります。

因果関係が認められても、結果として申請する傷病で障害年金を貰える障害状態にあるかを判断されます。

初診日証明ができなかったり、納付要件でネックがあったときの解決策として相当因果関係から申請のロジックを考えることが多いです。

ここは少し複雑なので年金事務所ではなく、最初は障害年金社労士に相談することをおすすめします。

 

因果関係がある・なしと言われている例

厚生労働省が出している手続きガイドブックに、ちゃんと掲載がありましたので共有します。(クリックで飛びます)

複数の傷病が同一と扱われることが多い具体例

A⇒B:Aの後にBが発症またはAとBは相当因果関係がある。
※A病がなければB病は発症しないとされている例です。

見方としては糖尿病から糖尿病性壊疸(糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉鎖症)になる可能性がる=因果関係があるという判断になります。

傷病名 関係 傷病名
糖尿病 糖尿病性網膜症
糖尿病性腎症
糖尿病性壊疸(糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉鎖症)
糸球体腎炎(ネフローゼを含む) 慢性腎不全
多発性のう胞腎
慢性腎炎
肝炎 肝炎 ⇒ 肝硬変
結核 聴覚障害(化学療法の副作用)
輸血の必要な手術 肝炎(手術等による輸血)
ステロイド投薬が必要な傷病 大腿骨頭無腐性壊死(ステロイド投薬による副作用)
事故による傷病 精神障害
脳血管の傷病
肺疾患 呼吸不全(肺疾患の手術ののち)
転移性悪性新生物: がん(はじめ
てなった部分にかかるもの)
転移性悪性新生物: 原発とされるものと組織上
一致、または転移であることを確認

 

同一の傷病と間違えやすい傷病の具体例

A×B:AとBは相当因果関係なしと扱われる例です。

傷病名 関係 傷病名
高血圧 × 脳出血
脳梗塞
近視 × 黄斑部変性
網羅剥離
視神経萎縮
糖尿病 × 脳出血
脳梗塞

障害年金の社会的治癒での申請方法

改めて社会的治癒を簡単に言うと「A病とB病」を発病したときに因果関係があったとしても、社会的に治癒していればB病が初診日になりますよってことです。

社会的治癒を当てはめると

  • 初診日っていつになるの?
  • 認定日はいつ?
  • 因果関係はあるの?

と疑問がでてくるとおもいますので、それぞれの申請の流れを見てみましょう。

A病とB病の因果関係がない場合の申請方法

社会的治癒_因果関係がない場合

A病とB病の因果関係がない場合は、B病の初診日から1年半が障害認定日になります。

A病を完治させて、その後B病が発病したという考え方になります。

心疾患の例

例えば

  • 小学生の時に心臓疾患があったが完治した。21歳になってから心臓疾患になった

という場合は

  • 小学生のときにしっかり病気を完治した
  • 健康診断でも問題はなかった
  • 体育の授業など日常生活での制限はなかった
  • 服薬せずに通院もしていない

ということを証明する必要があります。

 

精神疾患の例

もう1つ精神疾患で例を挙げたいと思います。

  • 中学生の時に引きこもりであった。社会人になってからうつ病を発症した

この場合中学生時代に医師の診察を受けたかどうかがポイントになります。

「診察を受けていない→病名がついていない→初診日ではない」となります。

過去に「社会人を初診日にすると納付要件を満たしていないから20歳前に発病した証明を取って20歳前の障害基礎年金で申請したい」というのを聞いたことがあります。

障害年金は保険料を払っていないともらえないですからね。

民間の保険と同じ考えで「車の保険に入っていないのに事故ったから保険金をください」と同じですので、しっかり保険料は払いましょうね。

 

※20歳前障害は保険料を納付する義務はないので保険料納付要件は問われません

詳しくは下記をご覧ください。(20歳前障害って?)

保護者に知っていただきたい障害年金

 

A病とB病の因果関係がある場合の申請方法

社会的治癒_因果関係がある場合

①A病だけで障害年金の申請をするのか
②A病とB病であわせて申請するのか
どちらかになります。

※障害認定日は障害年金をもらう程度じゃなかったけど、その後、病気が悪化して障害年金をもらって程度になったことを「事後重症請求」という申請になります。

②は併合認定・あわせて2級・あわせて1級などと呼びます。

実際の社会保険審査会の判決を見てみましょう。

平成25年(健)第1392号 平成26年8月29日裁決

社会保険審査会の判決事例を見てみたいと思います。

こちらは傷病手当金に関する社会的治癒の事例ですので障害年金ではありません。

“請求人は、「うつ病」、「双極性感情障害」、「抑うつ神経症」、「心身症」、「身体表現性障害」など、その時期により、受診した医療機関ないしは診療科により、異なった傷病と診断され、治療を受けていたが、これらの傷病は、相互に相当因果関係を有する傷病であり、特に、本件請求傷病のうつ病と既決傷病の心身症は同一関連傷病と認められ、当該傷病の症状は、本件受給期間終了後から本件請求期間開始日まで一貫して認められる。そうして、眼瞼痙攣、開眼失行は、うつ病が基盤にあり、うつ病に起因して表出した身体的症状と認められ、““相当因果関係のある同一関連傷病と認めるのが相当である。

なお、社会保険の運用上、過去の傷病が治癒した後再び悪化した場合は、再発として過去の傷病とは別傷病として取り扱い、治癒が認められない場合は、過去の傷病と同一傷病が継続しているものとして取り扱われるところ、医学的には治癒していないと認められる場合であっても、軽快と再度の悪化との間に、いわゆる「社会的治癒」があったと認められる場合は、再発として取り扱われるものとされている。

そして、いわゆる「社会的治癒」と認め得る状態としては、相当の期間にわたって医療(予防的医療を除く。)を行う必要がなくなり、通常の勤務に服していたことが認められる場合とされている。

本件の場合、本件受給期間終了日翌日の平成○年○月○日から本件請求期間開始日前日の同年○月○日までは、3か月にすぎず、仮に、この3か月間、請求人が通常の勤務に服していたことが認められるにしても、症状の著明な時期と症状の消失する時期を周期的に繰り返し、その変動周期が、時には年余にわたることも稀ではない本件請求傷病の疾患特異性を考えると、この3か月間をもって、これを相当の期間と認めることはできず、当該3か月をもって、いわゆる「社会的治癒」があったと認めることはできない。”(厚生労働省より)

「うつ病」、「双極性感情障害」、「抑うつ神経症」、「心身症」、「身体表現性障害」→うつ病と因果関係がありと判断されたという事例です。

 

ここで見ていただきたいのは…

いわゆる「社会的治癒」と認め得る状態としては、相当の期間にわたって医療(予防的医療を除く。)を行う必要がなくなり、通常の勤務に服していたことが認められる場合とされている。

という部分です。

  • 相当の期間にわたって医療を行っていない
  • 通常の勤務に服していた

というのが条件となっています。

相当な期間はどれくらい?何か月?何年?というのは出てません。

障害年金経営研究会の事例だと、5年以上が目安になっています。

※情報交換会当時の情報です。

 

症状の著明な時期と症状の消失する時期を周期的に繰り返し、その変動周期が、時には年余にわたることも稀ではない本件請求傷病の疾患特異性を考える

ともあります。

精神疾患は定期的な周期で浮き沈みがあるといわれているので、今回の事例では「疾患特異性」と考えて社会的治癒は認められなかったということです。

 

傷病⼿当⾦の「同⼀の疾病⼜は負傷」の解釈について

厚生労働省が出している定義を紹介したいと思います。(こちらで飛びます)

障害年金の同一傷病の考えではなく、傷病手当金として出しているものですので、障害年金に当てはまるかどうかは厚生労働省に確認してみてください。

「同一の疾病又は負傷」の解釈

同じ病気・怪我の定義は下記とのことです。

同一の疾病又は負傷とは、一回の疾病又は負傷で治癒するまでをいう。
したがって、同一の疾病又は負傷には再発にかかるものは含まない。

日本語って難しいですね…誰が読んでも同じ解釈になるように書かれているので仕方ないですね。

上記から、同じ病気の定義は

  • 病気になってから治癒するまでが1つの病気とする
  • 同じ病名で再発した場合は同じ病気とはならない

とのことです。

「これにより発した疾病」の解釈

さらにこのように記載されています。

傷病Aにより発した疾病Bがあった場合でも、傷病Aの起算⽇に基づき、傷病⼿当⾦が⽀給される。
「傷病Aにより発した疾病B」には直接的かつ医学的因果関係が必要であり、傷病Aがなければ疾病Bはおこり得なかったであろうという密接な関係が認められなければならない。

と、いうことで因果関係の定義としては「傷病Aがなければ疾病Bはおこり得なかったであろうという密接な関係」とのことです。

  • 傷病A→交通事故による損傷
  • 疾病B→交通事故による精神疾患

などは因果関係が認められる可能性はあります。※ケースバイケースです

因果関係が認められた場合は、傷病手当金は傷病Aから受給できるとのことです。

 

過去の疑義解釈

それぞれの判決を掲載しています。

同一の疾病又は負傷とは、「一回の疾病又は負傷で治癒するまでをいうが、治癒の認定は必ずしも医学的判断のみによらず、社会通念上治癒したものと認められ、症状をも認めずして相当期間就業後同一病名再発のときは、別個の疾病とみなす。通常再発の際、前症の受給中⽌時の所⾒、その後の症状経過、就業状況等調査の上認定す(る)。」(昭和29年3月保文発第3027号・昭和30年2月24日保文発第1731号

治癒の認定

  • 必ずしも医学的判断のみではない
  • 社会通念上治癒したものと認められるもの

とのことですので、医学的な見解だけではなく、社会生活がどうだったかも考慮されます。

社会通念上って普段使わない言葉ですよね。簡単に言うと、社会一般的なという法律用語です。

「社会一般的に治癒したものと認められるもの」ということですね。

 

  • 症状をも認めずして相当期間就業後同一病名再発のとき→別個の疾病とみなす
  • 通常再発の際→前症の受給中⽌時の所⾒、その後の症状経過、就業状況等調査の上認定する

相当期間、仕事をしていて同じ病気が見つかった場合は別の病気とみなす

再発の場合は前の病気の症状の経過や仕事の状況から判断する、と書かれています。

 

同⼀の疾病の定義

先ほども簡単に説明しましたが、再度お伝えいたします。

また、「医師の附した病名が異なる場合でも疾病そのものが同⼀なること明らかなときは同⼀の疾病に該当する。」(昭和4年保規第45号)」

病名が違う場合でも、症状が明らかに同じ場合は同じ病気と判断するとのこと。

例えば…「抑うつ神経症」、「心身症」、「身体表現性障害」と診断名が違っていても、同じ病状であれば、1つの病気とみなすということです。

※先ほどの平成25年(健)第1392号 平成26年8月29日裁決より

 

再発の定義

再発とは、「被保険者が医師の診断により全治と認定されて療養を中⽌し、⾃覚的にも他覚的にも症状がなく勤務に服した後の健康状態も良好であったことが確認される場合は再発とみなす。」(昭和26年保文発第5698号)

再発の定義は

  • 医師の診断により全治している
  • 療養していない
  • ⾃覚的にも他覚的にも症状がない
  • 勤務中も健康状態が良好であったこと

と書いています。

上記は「or」ではなく「and」のようです。

昭和26年の判決なので…再度確認をしたほうがいいと思います。

 

社会保険審査会の判決一覧の確認方法

社会保険審査会の裁決例一覧は厚生労働省のサイトから見ることができます。(クリックで飛びます)

一番最初にも簡単に触れましたか、社会的治癒という用語は障害年金の判例ではでてきません。

障害手当金の給付で社会的治癒に触れています。気になる方はそちらも読むのをおすすめします。

 

横田先生による社会的治癒の考え方

ここで障害年金経営研究会の情報に戻りたいと思います。

障害年金経営研究会のオブザーバーである横田先生(元審査担当者)から、社会的治癒の定義をいただきましたので共有します。

  • いわゆる完治したわけではないが特に治療の必要はない
  • 一定期間(5年程度)以上未受診でありその間は日常生活や社会生活を問題なくおくれているという条件を両方とも満たす場合に社会的治癒が認められることがある
  • 進行性疾患は原則対象外だが治療法のない進行性疾患は認められることがあるが、ただの経過観察受診は受診とみなさない)
  • 請求者の年金受給権・年金受給の期待権を守るためのものであるため請求者側にのみ認められている
  • 請求者側にのみ認められている
  • 社会的治癒は認定の範疇(行政判断)であり案件ごとに個別に判断されることになるため条件を満たせば必ず認められるという類のものではない

ちなみに横田先生は日本年金機構で厚生年金の審査担当をされておりましたので、ドンピシャな分野ですね。

あくまでも参考までに共有します!

 

横田先生によるQ&A

過去、障害年金経営研究会で取り上げた社会的治癒のQ&Aをまとめました。参考までにご確認ください。

発達障害で社会的治癒は適応されるのか

質問

発達障害や知的障害の場合には、医学的には治癒は考えにくいかと思いますが、
このような傷病でも社会的治癒は認められるものでしょうか。

回答

発達障害や知的障害では社会的治癒は成立しません。

 

2回目の股関節の手術での初診日の扱い

質問

  • 20年前に股関節の痛みのため骨の移植手術を受け、術後から数カ月間は定期的な検査の為に通院。
  • その後の10年以上は通院もなく、痛みも改善していたので通常通り生活していた。
  • しかし、5年前より急に股関節に激痛を感じたため別の病院を受診し、人工股関節置換手術を受けている。

どちらも股関節の手術ですが、5年前に受診した日を初診日として認められる可能性はありますでしょうか。

また、痛みが無くなって自己判断で通院中断していた場合ですと認められる可能性は変わるのでしょうか?

回答

ご質問のケースの場合、上記に該当しそうですので社会的治癒が認められる可能性はあると考えます。

ただ、お見込みのとおり、受診を自己中断していた場合は社会的治癒が認められる可能性は低くなります。

 

障害年金経営研究会での社会的治癒の事例

障害年金経営研究会で情報交換会を行った社会的治癒の事例を一部共有します。

あくまもケースバイケースですので参考までに共有いたします。

症状大項目 傷病名 事例タイトル 年金の種類 請求種別 請求時点等級 年額 請求に当たって工夫した点
精神 広汎性発達障害 うつ病 社会的治癒が認められた事例 障害厚生年金 事後重症 2級 約100万 一般雇用のアルバイトで就労中だったので病歴申立書の記載に注意した。
社会的治癒で初診を厚生年金に認めてほしかったので、PC資格の合格証や通信制高校の卒業証書など、一定の治癒期間があったと認められるよう添付書類をつけた。
精神 うつ病 二十歳前事後重症請求から二十歳後認定日請求が可能になった事例 障害基礎年金 障害認定日請求 2級 約78万 病歴・就労状況等申立書に受診をしていなかった時期の就労状況、日常生活の状況を詳しく記載した。
肢体 右一側性原発性股関節症 先天性の病気 障害厚生年金 事後重症 記入なし 約58万 先天性の病気だったが、社会的治癒として請求
精神 反復性うつ病性障害 注意欠陥多動性障害 社会的治癒 障害厚生年金 事後重症 2級 約140万 社会的治癒を主張。主治医にもその旨を伝え理解していただけた。
肢体 頭蓋底軟骨肉腫 肢体の診断書で提出した難病の事例 障害厚生年金 事後重症 1級 約150万 障害状態(身体の状態)については、かなり重篤な状態であり、等級認定に不安はなかったが、初診日に関しての見解が依頼者と行政側で対立し、依頼者が対応しきれない状態となっていた。安全策を取るのであれば、行政の主張通り、20前で基礎年金であろうが、依頼者の意向を尊重し、厚生年金で請求するのであれば、社会的治癒の主張で行くしかないと考えた。社会的治癒の主張にあたっては、社会的治癒の類似事例を裁決例から探して当方の主張に合理性を持たせるようにした。
精神 てんかん 社会的治癒 障害共済年金 事後重症 記入なし 約160万 自分で請求し20歳前に一度だけ発作があったことを理由に障害基礎年金の対象であると不支給となったという事例。社会的治癒を認めてもらえるように病歴就労状況等申立書を工夫しました。
肢体 脊髄空洞症・脊柱側弯症 先天性疾患につき社会的治癒が認められた事例 障害厚生年金 障害認定日請求 3級 約58万 先天性疾患とされ、初診日から既に30数年を経過していた。初診医療機関にカルテ現存せず、かつ、依頼人の現症からみても2級該当は困難と判断されたものの、長期間医療機関を受診していない期間があったことから社会的治癒により初診日を厚生年金加入期間とすることにした。(当該初診日が認定されれば、初診日から1年6ヶ月内に脊柱固定術を受けていたため、遡及での受給が可能になることも理由の1つである。)なお、厚年加入期間中の初診医療機関についてもカルテ現存しなかったが、次院への紹介状により証明することができた。
精神 統合失調感情障害 社会的治癒で厚生年金加入時の初診日で認定された事例 障害厚生年金 障害認定日請求 3級 約58万 発病日や初診日は、再受診の日付で書いていただけるか、事前にワーカーさんや主治医に確認し、受診状況等証明書・診断書作成を依頼。
肢体 脊椎性筋萎縮症 社会的治癒 障害厚生年金 障害認定日請求 2級 約100万 収入が高いので20歳前だと支給が停止になる可能性があり、社会的治癒が認められるよう、病歴・就労状況等申立書の作成については何度もメールでやりとりをしました。
腎疾患 慢性腎不全 社会的治癒 障害厚生年金 事後重症 記入なし 約126万 初診の医院での受診状況証明書は取得できませんでした。3歳時の時が初診でその後は21歳のときに受診したので治癒したことで21歳の時を初診として障害厚生年金で請求した。
精神 うつ 社会的治癒が認められた例 障害厚生年金 事後重症 2級 約100万 通院していなかった期間の証明として、5年分の給与明細を添付し、症状が軽快していたことを主張。
精神 うつ病 社会的治癒で初診日が変わった案件 障害厚生年金 事後重症 3級 約70万 受診状況等証明書に今回申請する初診日以前に通院されていたとの記載があった。以前の通院から今回の申請についての初診日までに、ご本人様より、通信制により学校を卒業したとのことで卒業証明書を出す。一般就労として5年近く働いていたとのことで賃金台帳を添付することにより、社会的治癒として初診日を証明した。
心疾患 大動脈弁狭窄症 社会的治癒が認められたケース 障害厚生年金 障害認定日請求 3級 約58万 幼少期に弁置換術を行っていたものの、その後経過は何も異常がなく10年以上長い年月を経過して新たに発症したことが分かりやすいよう病歴就労状況申立書を細かく作成しました。また奥様のご協力も得て当時の勤務内容が分かるよう給与明細や大学時代に快活に動いていたことなど、当時の記録を持ってきていただいて証明しました。
網膜色素変性症 社会的治癒が認められた案件 障害厚生年金 事後重症 2級 約150万 網膜色素変性症の患者会に問い合わせをしたり、過去の判例を調べるなど工夫しました。
精神 統合失調症 社会的治癒により遡及請求成功 障害基礎年金 障害認定日請求 2級 約78万 障害認定日以降厚生年金加入期間が多かったので、社会的治癒であることを主張した
肢体 右膝人工関節置換術後化膿 社会的治癒を主張し、足切断後感染時が初診と認められた事例 障害厚生年金 障害認定日請求 約123万 再発した時を初診日として請求。発病時の初診から現在までの経過に不審点の無いよう、本人に何度も確認しながら作成しました。
精神 うつ病 通院しなかった期間が長い事例 障害基礎年金 事後重症 2級 約78万 父親が開業医かつ自身が薬剤師で、薬がいつでも入手可能だったため、初診日から通院していなかった期間が長く、社会的治癒にされないよう、病歴申立書にその間の症状をしっかりと書き込みました。
心疾患 大動脈弁狭窄症、閉鎖不全症 社会的治癒を訴えた申請 障害厚生年金 事後重症 3級 約78万 初診日に関する申立書を添付した。
精神 うつ病・不安障害 社会的治癒後の請求 障害厚生年金 障害認定日請求 3級 約63万 在職中であったため、勤務および日常生活の困難さに重点を置いて記載した。

 

障害年金経営研究会の会員様は研究会データベースをご覧ください。キーワード検索で「社会的治癒」でヒットします

さいごに

いかがでしたでしょうか?

今回は障害年金の社会的治癒についてお伝えしました。

過去の資料を色々調べましたが、たくさんの情報はあるのですがバラバラに掲載されており、非常にわかりにくいためこのような記事を掲載しました。

社労士のサイトで「厚労省の通達から引用」と記載してあり、定義が載っていたのですが探すことができませんでした…

通達の書類をお持ちの先生はぜひ共有していただけると嬉しいです。

 

ちなみに、私は社労士ではなく船井総研というコンサルティング会社の社員です。

なぜここまで詳しいかというと、障害年金経営研究会の主催をしているから…です。

研究会員様からたくさんの情報を共有していただき、そのアウトプットとして情報を掲載しています。

障害年金の申請で悩まれている先生は、ぜひ障害年金経営研究会のお試し参加をおすすめします!

以上です。ここまでありがとうございました!

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